平成19年 公認会計士試験 論文式試験解答 租税法

平成19年 公認会計士試験 論文式試験解答 租税法

※ご覧になりたい科目をクリックしてください

租税法

第1問

問題1
問1

法人税法上、無償による資産の譲渡をした場合においては、譲渡時の価額を益金の額に算入するものとしている。
その理由として、通常の対価を伴う有償取引及びそれによって得た対価の額を無償で移転したと当該取引を二段階に分析すると、最初の取引により収益が発生したと解釈することができること、資産を無償で譲渡した場合に譲渡対価を認識しないと、資産を通常の価額で譲渡した場合とで課税上差異が生じてしまい、課税の公平性を害することになることなどが挙げられる。

問2
A社の課税上の取扱い
譲渡時における適正な価格より低い対価をもってする低額譲渡は、法人税法22条2項にいう有償による資産の譲渡に当たることはいうまでもないが、この場合にも、譲渡時における適正な価額に相当する経済的価値が認められるのであって、たまたま現実に収受した対価がそのうちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識されないものとすれば、無償譲渡の場合との間の公平を欠くことになるから、譲渡価額に経済的合理性のない限り、益金の額に算入すべき収益の額には、当該株式の譲渡の対価の総額3,200万円のほか、譲渡時における適正な価額4,000万円との差額800万円も含まれるものと解するのが相当である。
B社の課税上の取扱い
A社から取得した株式については取引時の価額をもって取得価額とすべきであり、よってB社における取得価額は4,000万円であり、実際の取引金額との差額800万円は受贈益として益金の額に算入される。

ページTOPへ

問題2
問1

譲渡所得課税は、保有資産の値上がりによって、その所有者に帰属した値上益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に譲渡されたのを機に、これを清算して課税するものである。通常の場合には当該値上益は資産の譲渡対価として具体化することとなるので、その対価額をもって譲渡所得の金額の計算上収入金額とすべき金額として測定することとなる。

問2

(2)

(理由)
当該借入金の利息のうち借入日から居住者Cが居住の用に供する日までの間に生じた金額は、不動産を使用することなく支払いを余儀なくされるものであり、また、借入日から不動産を居住の用に供するまではある程度の期間を要するのが通常であることから、取得に係る必要な準備費用ということができ、一種の付随費用として所得税法第38条1項でいう「資産の取得に要した金額」に含まれるものと解するのが相当である。一方、当該不動産の使用開始後の期間に係る金額は、維持管理に要する性質から居住者の日常的な生活費ないし家事費に属するものと区分することができることから取得費に算入することができない。

ページTOPへ

第2問

問題1
計算の明細 金額
当期利益の額 1,756,000,000
  加 算 減 算
(棚卸資産の評価について)
摘要 加算すべき金額 減算すべき金額
A製品 1,500,000  
B製品 5,000,000  
C製品 3,000,000  
合計額* 9,500,000  
*加算すべき金額、減算すべき金額の合計額をそれぞれ右の加算、減算の欄に記入しなさい。以下、「合計額*」の行について同じ。
9,500,000  
(当期末において所有している減価償却資産の償却費等について)
摘要 加算すべき金額 減算すべき金額
事務所 20,763,333  
工場 499,000  
陳列棚 2,346,667  
製造設備 8,592,168  
ソフトウェア 14,250,000  
合計額* 46,451,168  
46,451,168  
(租税公課について)
摘要 加算すべき金額 減算すべき金額
(1)の項目 912,000,000 188,500,000
(2)の項目 516,000,000  
(3)の項目 76,500,000   
(4)の項目 1,620,000 290,000
合計額* 1,506,120,000 188,790,000
1,506,120,000 188,790,000
(圧縮記帳について)
摘要 加算すべき金額 減算すべき金額
建物   10,000,000
土地 21,000,000 45,000,000
合計額* 21,000,000 55,000,000
21,000,000 55,000,000
(外貨建取引の換算について)
摘要 加算すべき金額 減算すべき金額
売掛金 1,000,000  
貸付金   2,850,000
借入金    
合計額* 1,000,000 2,850,000
1,000,000 2,850,000
(貸倒引当金及び貸倒損失について)
摘要 加算すべき金額 減算すべき金額
H社の取り扱い 4,999,999  
I社の取り扱い 7,650,000  
J社の取り扱い  
K社の取り扱い  
一括評価金銭
債権の取り扱い
1,140,900 547,871
合計額* 13,790,899 547,871
貸倒実績率    0.0042
繰入限度額     10,859,100
13,790,899 547,871
(役員との取引について)    
     役員乙との取引 120,000,000  
     役員丙との取引 土地 11,000,000  
     役員丙との取引 建物 39,000,000  
加算額・減算額の合計額 1,767,862,067 1,767,862,067
法人税額の計算 課税所得 3,276,674,196
納付すべき法人税額 553,002,200

ページTOPへ

問2
譲渡所得の区分 分離   長期   譲渡所得
譲渡所得金額 180,000,000 円

ページTOPへ

問題2
支出寄附金の額の明細  
指定寄附金等の額 700,000  
特定公益増進法人に対する寄附金の額 250,000   
その他の寄附金の額 510,000   
寄附金の額(合計)  1,460,000
損金算入限度額の計算明細        
仮計までの税務調整計算の過程      
当期利益の額    10,000,000
加算      
未払寄付金否認    70,000
減 算       
仮払寄付金認定損     200,000
前期未払寄付金認容     420,000
仮 計 仮計の額 9,450,000
損金算入限度額の計算過程の明細    
{62,500,000×12/12×2.5/1,000+(9,450,000+1,460,000)×2.5/100}×1/2=214,500
   損金算入限度額 214,500
損金不算入額の計算過程の明細
1,460,000-700,000-214,500(※)-214,500=331,000
(※)214,500<250,000 ∴ 214,500 損金不算入額 331,000

ページTOPへ

問題3
問1 課税標準額及び課税標準額に対する消費税額
(1) 課税標準額
課税標準額(千円未満切捨)は, 627,292,000 円である
(2) 課税標準額に対する消費税額
課税標準額に対する消費税額は, 25,091,680 円である。
問2貸倒に係る消費税額の控除過大調整税額

貸倒に係る消費税額の控除過大調整税額は, 60,000 円である。

問3課税売上割合及び仕入税額の按分計算の要否についての判定
(1) 課税売上割合
課税売上高合計は, 626,927,180 円である。
非課税売上高合計は, 30,229,193 円である。
従って,課税売上割合は、
計算
小数点以下第4位まで記入しなさい。
(2) 仕入税額の按分計算の要否についての判定
上記の計算の結果,課税売上割合は95%(超・以上・以下・未満)であるので、
仕入税額の按分計算は(必要・不必要)である。
問4控除対象仕入税額

控除対象仕入税額は, 20,403,260 円である。

問5 納付すべき消費税額

(1) 売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額は, 14,604 円である。
(2) 差引税額
消費税額= 4,773,800 円(百円未満切捨)である。
(3) 納付税額
納付すべき消費税額は, 2,233,800 円である。

ページTOPへ

上記解答について

※上記解答は独自に作成されたものであり、「公認会計士・監査審査会」が公式に発表したものではございません。ご理解のうえ、ご利用下さい。

お問い合わせはこちらからお願いします。

ページTOPへ